私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
「さぁ、客観的に見たことないから、わかんない」
「まぁ、そうだよね。今度、健に聞いてみよ」

自分の声が、上ずって震えているのがわかる。

もし一ノ瀬くんが一緒にいてくれなかったら、きっととっくの昔にこの場から逃げ出していたに違いない。

「付き合わせてごめんね」
「勘違いすんな。お前が一人でどっかでへばってると、回収するのが面倒くさいだけだから」
「ああそうですか」

優しいのか横暴なのか分からない一ノ瀬を、小突いてやろうとしたその時だった。

マンションの自動ドアがすっと静かに開くと、中からラフな格好をした涼介が現れた。

< 108 / 190 >

この作品をシェア

pagetop