私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
「ここに来るたび気になってたから。いつも受付で笑顔で対応してるのが印象的で。この前外科外来の場所聞いたのは、実はわざと」
おどけて見せる木崎さんを前に、思わず「えーっ!」という声が上がる。

「この病院の地図は、頭の中に完璧に入ってる」

そう断言され、言葉を失う。

そりゃそうだ。広い病院だとはいえ、半年以上来ているのだから、外来の場所がわからないなんて、ありえない。

意図があることに、全然気づかなかった。

というか、爽やかな顔の裏側は策士? それこそ意外過ぎる。

「これ、俺のID」

スッとスマホを差し出され、あたふたしながら、それを読み取る。

画面に「木崎涼介」と表示されていて、思わず頬が緩んだ。下の名前、涼介さんっていうんだ。

「連絡してもいい?」
「は、はい」
「ありがとう」

お得意のスマイルを私に向けると「じゃあ」と行ってしまう。

その背中を見つめていると、知らず知らずのうちにうっとりとしたため息がこぼれていた。

まさか向こうから聞いて来てくれるなんて。しかも笑顔がいいって褒められてしまった。

胸はドキドキと高鳴りっぱなしで、昼休みが終わろうとしているのに、それすら気づかず、画面に浮かぶ彼の名前をしばらく眺めていた。

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