私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
「お誘いいただきありがとうございます。特定の大切な人がいらっしゃらなければ、ご一緒したいと思っています」

意を決し、送信ボタンを押す。すると一分もしないうちに返事が返って来た。

「返信ありがとうございます。恋人や特定の人はいませんのでご安心ください。では、明日はいかがでしょう?」

その文章を読んだ瞬間、安堵が全身を駆け巡った。

「恋人いない! やった!」

喜びの叫び声が、部屋中に響き渡る。心臓がまるで早鐘を打つかのように、激しく鳴り始めた。

あの銀座の件も、きっとただの友人だったのだろう。疑ってしまったことに、少しだけ申し訳なく思った。それなら、この誘いを断る理由はどこにもない。

指が勝手に動き、吸い寄せられるように返信の文字を打ち込む。震える指先がメッセージの文字を踊らせる。

「ぜひ、ご一緒させてください!」

感嘆符をつけ、精一杯の喜びを表現した。送信ボタンを押すと、じんわりと手のひらに汗が滲む。

期待と不安が複雑に入り交じり、ジェットコースターのように感情が揺さぶられる。それでも今は純粋な「楽しみ」が優っていた。

「何着て行こうかな。あー、緊張する!」

身体中に喜びのエネルギーが満ち、その場で手足をバタバタさせる。

部屋の隅にある姿見に駆け寄り、手持ちの服を想像で合わせてみた。

どんな服がいいだろう? 彼に「素敵だね」って思われたい。

頭の中は早くも明日のデートのことでいっぱいだった。まるで夢の中にいるような、ふわふわとした幸福感に包まれていた。
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