私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
彼の声は穏やかだが、どこか自信なさげな雰囲気がただよっている。

泊まりってことはつまり、そういうことだよね?

彼の言葉の裏にある意味を理解した瞬間、私の頬はさらに火照り、指先まで熱が伝わってくる。

「予定、確認しておくね」

私はほとんど反射的に、だけど満面の笑顔で即答していた。

「やった。すっごく嬉しい。実は誘うのちょっと緊張してた」

そう言いつつも、機嫌よさそうに笑っている。

私はその隣で、彼の部屋を訪れる日のことを想像し、期待と微かな緊張で心を甘く高鳴らせていた。

これまで経験したことのない、満ち足りた幸福感が全身を包み込み、もう涼介しか見えなくなっていた。

この時までは……。


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