私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~


そういえばこいつの恋愛事情というものを、これまで聞いたことがない。モテるくせに、どうして彼女がいないんだろう。

「一ノ瀬は彼女作んないの?」

ラスト一個の唐揚げをつまみながら、おもむろに問う。

「面倒なだけだろ。俺には向いてない」
「ふーん」

一ノ瀬の答えに、同意するように頷く。確かに恋愛って面倒なところはある。

これまでそれなりに男性と付き合ってきたけど、相手の時間に合わせたり、ときには趣味まで一緒にやったり、自分軸で生活ができなくなる。

一ノ瀬のように自由人だと、恋人は面倒なものと分類されてしまうのだろう。あながち、私もそのタイプかもしれない。

「なんか納得したような返事だけど、凛は王子といい感じになりたいんじゃないの?」
「やめてよ、菜穂。ていうか、その王子って言い方」

まぁ王子っぽいと言えばそうだけど。白馬に乗ってきても、あまり違和感がなさそう。

「来月の開院記念パーティー、来るんじゃない? そのとき話しかけたら?」
「いやいや、そんな勇気ないし……それに来るかどうか」
「来るよ絶対。業者はいつもくるじゃん。去年だってYKジャパンの営業さん来てたよ」
「確かに」

でも例え来たとしても、きっと先生や技師さんたちの相手で忙しいだろう。彼らにとっては絶好の営業場所なんだし。自由に飲み食いして楽しめるのは、私たち職員だけ。

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