私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
「一ノ瀬は行くの? 開院パーティー」
ぺろりとかつ丼とラーメンを平らげた一ノ瀬に話題を振る。すると、口の端をわずかに上げ、ニヤリとしながら言った。
「お前がその男相手にテンパってるのを見に行くのも悪くないな」
「はぁ? そんな失態しないし」
いちいちムカつく。でも一刀両断で「行くはずない、めんどくせー」って言うと思ってたのに意外な答えだったな。
「じゃあ三人で出席ってことで決まりね。たらふく飲むぞー!」
張り切る菜穂を尻目に苦笑いをこぼす。去年菜穂は飲みすぎて、私が抱えて帰った。それはそれは大変で、道端に捨てて帰ろかと本気で迷った。この様子を見ると、本人はそのことをまったく反省していないようだ。
「凛、去年みたいにデニムじゃダメだからね。お洒落してきなさいよ」
「えーいいでしょ、デニムで。身内ばっかりなんだし」
「万が一ってこともあるでしょ! あと勝負下着ね!」
「ちょっと、菜穂」
公の場でこの子はなんてことを……。一応、一ノ瀬だって男なのに。まぁスマホいじってて聞いてなさそうだからいいけど。
それより本当に木崎さん、来るのかな。来るとしたらやっぱりスーツ? お酒は飲めるのかな。食べ物は何が好きなんだろう。
恋愛なんて面倒だなんてついさっき言ったばかりなのに、いつの間にかそんな想像で頭がいっぱいになっていた。