私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
Tシャツ一枚になった彼の腕や、ちらりと見えた引き締まった体に、思わずドキッとして俯く。
「凛、この上に座って」
「え? いいよ、服が汚れちゃう」
「汚れたら洗えばいいだけだから、気にしないで」
穏やかな口調でそう言うと、彼は先に砂の上へと腰を下ろした。
「ありがと……」
こういう王子様みたいなさりげない優しさは、以前と少しも変わらない。だから余計に胸が痛む。
私は握っていた貝殻をそっとポケットにしまうと、彼のジャケットの上に「失礼します」と心の中で呟いてから座った。
「凛、暑くないの? その格好」
「……平気」
「夏だというのになぜ?」と言わんばかりの視線が、チクチクと刺さる。
私は気づかないふりをして、目の前の湿った砂にそっと触れた。
「海での砂遊びって、楽しいよね。大きな山作ってトンネル掘ったり、友達を埋めてみたり」
「まぁ、定番だよな」
クスクスと笑う涼介の声に少しだけ安堵しながら、私はペタペタと湿った砂を両手で盛り、小さな山を作り始めた。
「まさか今から作る気?」
「もちろん」
彼は呆れと面白さが混じったような薄笑いを浮かべ「凛らしい」とぽつりと呟くと「ねぇ、凛」と呼んだ。
「ん?何?」
「俺が最初に凛の病院に行ったときのこと、覚えてる?」
ちらっと横目で彼を見ると、涼介は潮風で少し伸びた髪をなびかせていた。
「凛、この上に座って」
「え? いいよ、服が汚れちゃう」
「汚れたら洗えばいいだけだから、気にしないで」
穏やかな口調でそう言うと、彼は先に砂の上へと腰を下ろした。
「ありがと……」
こういう王子様みたいなさりげない優しさは、以前と少しも変わらない。だから余計に胸が痛む。
私は握っていた貝殻をそっとポケットにしまうと、彼のジャケットの上に「失礼します」と心の中で呟いてから座った。
「凛、暑くないの? その格好」
「……平気」
「夏だというのになぜ?」と言わんばかりの視線が、チクチクと刺さる。
私は気づかないふりをして、目の前の湿った砂にそっと触れた。
「海での砂遊びって、楽しいよね。大きな山作ってトンネル掘ったり、友達を埋めてみたり」
「まぁ、定番だよな」
クスクスと笑う涼介の声に少しだけ安堵しながら、私はペタペタと湿った砂を両手で盛り、小さな山を作り始めた。
「まさか今から作る気?」
「もちろん」
彼は呆れと面白さが混じったような薄笑いを浮かべ「凛らしい」とぽつりと呟くと「ねぇ、凛」と呼んだ。
「ん?何?」
「俺が最初に凛の病院に行ったときのこと、覚えてる?」
ちらっと横目で彼を見ると、涼介は潮風で少し伸びた髪をなびかせていた。