私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
喉を通り過ぎていくそれは、子供の頃を思い出すような優しい甘さ。その甘さが、あまりにも今の自分とかけ離れていて、おかしくて、どうしようもなく悲しかった。

マグカップを持つ手がカタカタと震え始め、耐えきれなくなった涙が、ココアの表面にぽつり、ぽつりと小さな波紋を作って落ちる

「菜穂、あのね……」

一人でとどめておくのが難しくなった私は、途切れ途切れになりながらも、今日あった出来事を全て菜穂に話した。

沙羅さんのこと、赤ちゃんの悲しい運命のこと、そして、涼介さんの苦しい決断のことを。話している間も涙は止まらず、何度も言葉に詰まったが、菜穂はただ黙って私の話を最後まで聞いてくれた。

全てを話し終えると、菜穂は静かに立ち上がり、冷凍庫から大きなアイスクリームのカップを二つ取り出してきた。

「こういうときは、食べて飲んで忘れよう」

スプーンを私に突き刺すように渡しながら、菜穂は吐き捨てるように言った。

「だいたい、自分だけ悲劇のヒーローぶっちゃってさ。凛をなんだと思ってんのよ!」
「まさかこんなことになるなんて、想像もしなかったよ」

私の声はまだ涙で濡れていて、自分でも驚くほどか細く響いた。菜穂はそんな私の隣にぐっと体を寄せると、私の肩を強く抱いた。

「でも凛は偉いよ。ちゃんと自分でケリつけたんでしょ」
「……うん」
「本当にすごい。えらい!」

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