悪女は穏やかに眠りたい ~『天使の寝顔』は追放先で溺愛される~
そして夜。私は、ルグス国王の私室に案内されていた。
部屋の主は仕事が押していたようで、今入浴されているらしい。ということで、私は1人で彼の部屋で待機させられていた。
ここに至るまで食事や入浴を済ませたのだが、やはりどれも手厚い対応だった。現国王の妻として書類上は通ったけれど、実際は余所者扱いをされると思っていた。しかし、それらが杞憂で済んでくれたのは有難いこと。
食事も私に合わせたものが用意されており、とても美味しかった。温かい食べ物を食べたのはいつぶりだっただろうか。大体は仕事をしながら、冷たいパンを齧ることが多かった。そんな杜撰な生活をしていた自分に、今更ながら呆れてしまう。
(そういえば、お風呂で化粧を落とした私の顔を見たネネシェさんに叫ばれたけれど、そんなに酷い顔をしていたのかしら)
血色の悪さも濃い隈も、私からするといつも通りだった。
常に少し厚めに化粧をしていたから気づかれていなかったが、こうして化粧を落とした顔を見て叫ばれてはさすがに傷つくものである。
(それにしても…眠たい。お腹いっぱい食べさせてもらった上に、入浴もしちゃったから…身体が寝ようとしているのね)
しかし、そういう訳にもいかないだろう。
政略結婚とはいえ、王族と結婚したのだ。初夜の務めは当然の義務。私はその責務を果たすために、ここにいる。
頬をぎゅっとつねった。
痛い。でも、この鈍い痛みが徹夜で疲弊しきった私の意識を繋ぎ止める。寝てはならない。いつ、どんなことが起こっても耐え抜かなければ……
「…何をしている」
不意に声が聞こえた。
部屋の主は仕事が押していたようで、今入浴されているらしい。ということで、私は1人で彼の部屋で待機させられていた。
ここに至るまで食事や入浴を済ませたのだが、やはりどれも手厚い対応だった。現国王の妻として書類上は通ったけれど、実際は余所者扱いをされると思っていた。しかし、それらが杞憂で済んでくれたのは有難いこと。
食事も私に合わせたものが用意されており、とても美味しかった。温かい食べ物を食べたのはいつぶりだっただろうか。大体は仕事をしながら、冷たいパンを齧ることが多かった。そんな杜撰な生活をしていた自分に、今更ながら呆れてしまう。
(そういえば、お風呂で化粧を落とした私の顔を見たネネシェさんに叫ばれたけれど、そんなに酷い顔をしていたのかしら)
血色の悪さも濃い隈も、私からするといつも通りだった。
常に少し厚めに化粧をしていたから気づかれていなかったが、こうして化粧を落とした顔を見て叫ばれてはさすがに傷つくものである。
(それにしても…眠たい。お腹いっぱい食べさせてもらった上に、入浴もしちゃったから…身体が寝ようとしているのね)
しかし、そういう訳にもいかないだろう。
政略結婚とはいえ、王族と結婚したのだ。初夜の務めは当然の義務。私はその責務を果たすために、ここにいる。
頬をぎゅっとつねった。
痛い。でも、この鈍い痛みが徹夜で疲弊しきった私の意識を繋ぎ止める。寝てはならない。いつ、どんなことが起こっても耐え抜かなければ……
「…何をしている」
不意に声が聞こえた。