悪女は穏やかに眠りたい ~『天使の寝顔』は追放先で溺愛される~
「それに、ネネシェから進言があったんだ。『アメリア嬢の身体が優れないようだから、どうか休ませてあげてほしい』と。聞いたところによると、顔色と隈が酷いようだな」

 彼は、ベッドに腰かけると手招きをしてきた。恐る恐る近づくも、どうにも緊張してしまう。彼は私の様子を察したのか、柔らかく笑った。

「怖がることはない。眠れないのならば、無理して眠らなくていい。横になっているだけでも、身体は楽になるだろう」
「しかし、ルグス国王…」
「もし貴女がここで倒れてしまっては、私の面目に関わる。そういうズルい言い訳を使わせてもらおうか」

 くすくすと笑う彼は、自分の隣をポンポンと叩いて示した。それに従って広いベッドに上がると、彼は満足げに頷いた。
 
 背中合わせで横になり、とりあえず目を閉じてみる。しかし眠れない。眠いと思って横になっても、いざ横になると目が冴えてしまう。
 諦めた私はそっと身体を起こし、ルグス国王に小さく声をかけた。

「申し訳ありません、ルグス国王。私は…やはり眠れません。眠り方が、もう分からなくなってしまったのです」

 彼は薄闇の中、体を起こした。そして再び、何かを考えるような顔をした。

「アメリア嬢、オオカミは好きか?」
「ぇ、っと、」
「素直に応えてくれて構わない」

 彼は真っ直ぐに私を見つめると、はっきりとそう言った。
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