悪女は穏やかに眠りたい ~『天使の寝顔』は追放先で溺愛される~
【ルグス視点】

 スー… スー…
 
 俺の腹部辺りで眠りに落ちたアメリア嬢。少し顔を上げてみるも、起きる気配はない。

(ネネシェから進言があった時は驚いたが、どうやら体調が優れないのは事実だったようだな)

 アメリア嬢に関しては、悪女という悪名がつけられていることは知っていた。
 その上で、アウグスト王国が厄介払いに彼女を寄こしてきたのも知っていた。

 どのような悪女なのか、純粋に気になった部分が最初は大きかった。あまりにも不審な行動が見られるようなら、速攻部屋に軟禁すればいいだけのこと。

 興味と疑いから始まった彼女の受け入れだが、予想は大きく外れた。

(アメリア嬢が悪女?もっと傲慢かと思っていたが、遠慮しすぎて心配になるほどだぞ)

 幼気な少女。そんな言葉が当てはまるほどの人だ。
 どこが悪女だというのだろうか。嘘を吐いている素振りも見られなければ、不審な行動も見られない。

(そもそも、王太子の元婚約者が何故こんなにも苦労をしているのだ。忙しいとはいえ、もっと保証された暮らしをするものではないのか…?)

 先ほど彼女は不眠の原因を『仕事』と言っていた。そんなにも忙しいのだろうか。
 いや、彼女の本質を見抜けなかったな王太子だ。彼女に仕事を押し付けていた可能性も考えられる。

 となれば、なぜアメリア嬢は他国に流されるようなことになったのか。色々考えるも、分からないことが多すぎる。

(まあ、いいか。これから少しずつ教えてもらうとしよう)
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