悪女は穏やかに眠りたい ~『天使の寝顔』は追放先で溺愛される~
いよいよガルデア獣人国へ入国するという時、馬車は国境の門前で止まった。
「入国許可証を」
「は、はい…!」
聞き慣れない声は門番かな。きっと御者が対応してくれているのだろう。外の話し声を聞き流していると、向かいに座る護衛がビクリと反応した。
(どうしたのかしら。随分と怯えているようだけれど…)
視線を向けると気まずそうに顔を背けられた。
もしかして、獣人国に入ることが怖いのだろうか。野蛮と噂されているガルデア獣人国に入ることができても、帰りはどうなるか分からない。きっと、そんなことを考えているのだろう。
(そういえば、この護衛たちはそんなに身分が高くない)
新兵と呼ばれるぐらいの身分だったはず。死んでもいいと思われているのだろうか。可哀想に。どこまで非情なんだか。
「……あなた達のことは無事に帰してくださるよう、ルグス国王には申し上げておくわ」
「はい…?」
「私の輸送に巻き込んでしまってごめんなさいね。帰ったら、殿下から特別手当を貰いなさい」
再び動き出した馬車。いよいよ後戻りできなくなった事実にため息を吐くと、向かいに座る護衛は小さく呟いた。
「どうして、どうしてご自分の身ではなく、初対面の俺たちのことを案じてくださるのですか…?」
「あら、会話をしたのは今日が初めてだけれど、私はあなた達のことを知っているわよ」
2人の護衛は顔を見合わせた。それから、同時に首を傾げた。
「あなたたちは、先日の訓練でそれぞれ筆記と近接で上位の成績を修めているでしょう?素晴らしいじゃない。あなたたちが訓練後に努力を続けた結果が実っている」
「何故それを、」
「ふふっ、努力を適切に評価したいと思っただけよ」
「入国許可証を」
「は、はい…!」
聞き慣れない声は門番かな。きっと御者が対応してくれているのだろう。外の話し声を聞き流していると、向かいに座る護衛がビクリと反応した。
(どうしたのかしら。随分と怯えているようだけれど…)
視線を向けると気まずそうに顔を背けられた。
もしかして、獣人国に入ることが怖いのだろうか。野蛮と噂されているガルデア獣人国に入ることができても、帰りはどうなるか分からない。きっと、そんなことを考えているのだろう。
(そういえば、この護衛たちはそんなに身分が高くない)
新兵と呼ばれるぐらいの身分だったはず。死んでもいいと思われているのだろうか。可哀想に。どこまで非情なんだか。
「……あなた達のことは無事に帰してくださるよう、ルグス国王には申し上げておくわ」
「はい…?」
「私の輸送に巻き込んでしまってごめんなさいね。帰ったら、殿下から特別手当を貰いなさい」
再び動き出した馬車。いよいよ後戻りできなくなった事実にため息を吐くと、向かいに座る護衛は小さく呟いた。
「どうして、どうしてご自分の身ではなく、初対面の俺たちのことを案じてくださるのですか…?」
「あら、会話をしたのは今日が初めてだけれど、私はあなた達のことを知っているわよ」
2人の護衛は顔を見合わせた。それから、同時に首を傾げた。
「あなたたちは、先日の訓練でそれぞれ筆記と近接で上位の成績を修めているでしょう?素晴らしいじゃない。あなたたちが訓練後に努力を続けた結果が実っている」
「何故それを、」
「ふふっ、努力を適切に評価したいと思っただけよ」