悪女は穏やかに眠りたい ~『天使の寝顔』は追放先で溺愛される~
張り詰めた沈黙が流れる中、私は静かに顔を上げる。そして、改めて声を張った。
「しかし、ただ1つだけ願いがございます。お伝えしてもよろしいでしょうか」
「言ってみろ」
「はい。彼ら…私を送り届けるために遣わされた者たちを、このまま帰してやりたいのです。無礼は承知ですが、新兵である彼らに、他国での外交は重すぎること。どうか、聞き入れてはくださりませんか?」
「…そうか。まあ、そう願われたのならば仕方ない。このまま帰るといい」
「ありがとうございます」
私は馬車を振り返り、できるだけ安心させるように微笑んだ。
「良かったじゃない。気を付けて帰りなさい」
「お待ちください!1つだけ、教えていただきたいことがあります!」
「何かしら。あまり時間が無いから手短にね」
扉を閉めようとしていた手を止める。
顔を上げた護衛は、悔しそうに眉を寄せて泣きそうになっていた。その表情が予想外で、驚いてしまう。
「なぜ、こんなにもお優しいアメリア様が悪女だなんて呼ばれているのですか、?」
更に予想外の言葉。でも、その言葉で今までの苦労が報われたような気がした。
最後に私のことを思ってくれる人ができた。それだけで十分ではないか。
「……正当な評価をしてくれる人がいなかったからよ」
私は今、どんな表情をしているのか。はたまた、彼らは私の言葉を受けて何を言おうとしたのか。
そのどちらも確認できないまま扉を閉めれば、馬車は逃げるように走り出した。御者が耐えきれなかったのだろう。そして、ものの数分で見えなくなった。
やがて、ルグス国王は短く「入れ」とだけ告げて背を向けた。他の獣人も、その場で散っていく。どうやら、城の使用人だったようだ。よく見ると、メイドや執事のような服が多い。
(さて、せめて痛みを感じる機会が少ないといいけれど)
覚悟を決め、私は彼の後をついていったのだった。
「しかし、ただ1つだけ願いがございます。お伝えしてもよろしいでしょうか」
「言ってみろ」
「はい。彼ら…私を送り届けるために遣わされた者たちを、このまま帰してやりたいのです。無礼は承知ですが、新兵である彼らに、他国での外交は重すぎること。どうか、聞き入れてはくださりませんか?」
「…そうか。まあ、そう願われたのならば仕方ない。このまま帰るといい」
「ありがとうございます」
私は馬車を振り返り、できるだけ安心させるように微笑んだ。
「良かったじゃない。気を付けて帰りなさい」
「お待ちください!1つだけ、教えていただきたいことがあります!」
「何かしら。あまり時間が無いから手短にね」
扉を閉めようとしていた手を止める。
顔を上げた護衛は、悔しそうに眉を寄せて泣きそうになっていた。その表情が予想外で、驚いてしまう。
「なぜ、こんなにもお優しいアメリア様が悪女だなんて呼ばれているのですか、?」
更に予想外の言葉。でも、その言葉で今までの苦労が報われたような気がした。
最後に私のことを思ってくれる人ができた。それだけで十分ではないか。
「……正当な評価をしてくれる人がいなかったからよ」
私は今、どんな表情をしているのか。はたまた、彼らは私の言葉を受けて何を言おうとしたのか。
そのどちらも確認できないまま扉を閉めれば、馬車は逃げるように走り出した。御者が耐えきれなかったのだろう。そして、ものの数分で見えなくなった。
やがて、ルグス国王は短く「入れ」とだけ告げて背を向けた。他の獣人も、その場で散っていく。どうやら、城の使用人だったようだ。よく見ると、メイドや執事のような服が多い。
(さて、せめて痛みを感じる機会が少ないといいけれど)
覚悟を決め、私は彼の後をついていったのだった。