白衣とエプロン②お医者様は今日も妻に恋わずらい
その夜、さっそく彼に話をした。

「確かに、指輪できないもんね」

食後のお茶をいただきながら、彼が困ったように笑う。

「けど、それでも僕はやっぱり何か形のあるものを……」

「でしたら、ネックレスとかダメでしょうか? それなら、指輪と違ってつけていられますし」

「確かに」

「時計も、基本は腕時計よりナースウォッチが推奨されていますし。お洒落な時計は仕事中につけるには不向きですし」

ナースウォッチは腕に巻かずに、ナース服につけられたり、衛生面や機能面が医療者のために工夫された便利アイテム。

私は事務職なのでそこまで気にする必要は求められてはいないのだけれど、水仕事などは普通にあるので、腕時計はちょっと。

そとそも高価な時計は……と言うのはさすがによしておいたけど。

「麗華先生が、せっかくなら好きな石やデザインを選んでオーダーしてもいいんじゃない、って」

「なるほど。それなら千佳さんが気に入ったものが見つかりそうだし、しまいっぱなし問題もなさそうだ」

(よかった、秋彦さんが嬉しそうで)

実は、麗華先生にアドバイスをいただいてからずっと、私も楽しみになっていた。

だって、彼が私のためにあつらえてくれるオリジナルのアクセサリーだなんて。

私にとってはやっぱり、どんな高価なダイヤの指輪よりも断然嬉しくてワクワクだもの。

「もし具体的なあてがまだないなら、夏姉(なつねえ)と勝(まさる)さんに相談してみようか? もちろん、千佳さんさえよければだけど」

夏姉というのは彼のお姉さんで、勝さんはお姉さんのパートナー。

勝さんはデザイン関係のお仕事をされていて美大の講師もされている。

「聞いてみないとだけど、ジュエリーデザイナーさんにつてがあるかもしれないし。どうかな?」

「もちろん、願ってもないです」


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