続・幼なじみの不器用な愛し方

それほど、

本の話をするようになってから、石田さんとの距離が少しだけ縮まった……ような気がしている。

たとえば、


「コンビニ行ってくる。店番よろしく」

「はーい」


基本は敬語だったのが、完全に砕けた口調で話してくれるようになった。


「今何読んでんの?」

「町尾ゆうこさんの『空を泳げば棒には当たらん』です」

「ふはっ。町尾さんのそれか。タイトルからしておもろいよな」

「えっ、この作者さんお知り合いなんですか」

「知り合いといえば知り合い」


時間に余裕がある時は、こんなふうに雑談をするようになった。


「えっ、石田さんってもうすぐ38歳なんですか!? 見えない!」

「それ、どっちの意味でや」

「いい意味で若く見えてます!」

「ほなええか」


聞けば、自分のことを開示してくれるようになった。

そして、距離が少し縮まったから気付くこともある。


「本業の傍ら、コワーキングスペースをしようと思ったのはどうしてなんですか?」
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