続・幼なじみの不器用な愛し方
「こんなに近くにあったんだ……」


知らなかった。

産院からだと少し歩くけど、いつも小休憩をしている川原からは徒歩2分ほどといったところだ。

まだ全然土地勘がないわたしでも、ここならまた買いに来られそうだ。


大型連休の初日ということもあってか、趣のある店内はお客さんで賑わっていた。

カゴに陳列されていたどら焼きを6個購入した。わたしの分も好きに買っていいと言ってもらっていたので、お言葉に甘えて1つは自分用だ。

お店の前で待ってもらっていたタクシーに乗り込んで、つい3日前、お母さんに電話をかけた河川敷を横目に帰路についた。




どら焼きは賞味期限が5日だったから、1日1つずつ食べるんだろうと思っていた。んだけど……。


「えっ、もう食べ終わっちゃったんですか!?」


おつかいの2日後。

朝、店舗を訪れたわたしは思わず声を張り上げた。

目の前には、無造作に破り捨てられたどら焼きの菓子袋の山。


「……昨日と一昨日は1個しか食べてへんかってんけど」


クマをさらに濃くした石田さんが、バツが悪そうに後頭部を掻きながら言う。

締め切り直前は、甘いものの量が増えるって言ってたもんなぁ……。
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