続・幼なじみの不器用な愛し方
観光名所がその先にあるのも大きな理由の1つだろう。


人の波を横目に、パン屋さんを目指す。

歩き始めたことでまめちゃんも起きたのか、お腹の中でもぞもぞと動き始める気配がした。


「お腹空いてきた……」


今日はなんのパンにしよう。

この前買ったカスクートの、他の種類もいいかな。

だけど、柿が乗ったパンも気になってたんだよなぁ……。


パン屋さんの扉を開け、いつものようにトレイを手にする。

綺麗に陳列されたパンを吟味して、迷った挙句、カスクートを選んだ。今日はロースハムのカスクートだ。


「ありがとうございましたー」


顔見知りになった女性店員さんの声を背中に受けながら店を出て、今度は翔福亭を目指す。


「いい運動になるなぁ」


この辺りに来ない日も、週に数回は散歩をするようにしている。

出産に備えての体力作り。体重管理のため。

理由は色々あるけれど、1番はいい気分転換になる。


少し強い風がびゅうっと吹いて、髪がふわりと舞った。

短くなった髪にも慣れてきて、鏡の前に立ってももう驚くことはない。

こうやって、少しずつ、変化に慣れていくのだろう。


翔福亭でどら焼きを買って、土手に下りた。
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