続・幼なじみの不器用な愛し方
わたしは有斗の方を見ないようにして、車窓の向こうに流れる景色を睨みつけるように見ていた。

それは、混乱してパニックを引き起こす寸前の意識を、何とか繋ぎ止めて冷静でいるための手段だった。


どうして有斗がここにいるの?

東京と京都では、偶然なんて起こり得ない。

地元でわたしの居場所を知っているのは宮水と大橋先生だけだけれど、有斗とは面識がないはずだし、さっきの電話でも変わったところはなかった。

実家への手紙はまだ郵便局に持っていっていないから、消印などでバレた可能性もない。

なのに、なんで……。


20分も走らないうちに、いつもは歩いて通る住宅街に差し掛かった。

すぐに4階建ての建物は見えてきて、店舗の邪魔にならないよう、アパートの入口前で停めてもらう。

支払いのために予め財布を出していたけれど、隣から伸びてきた腕が有無を言わせないうちに決済を済ませてしまった。


何も言わないままタクシーを下りた有斗。

小さく溜め息を吐き、わたしも後に続こうと自動で開いたドアから身を乗り出す。

と、先に下りていた有斗がこちら側に回り込み、無言で手を差し出していた。


「……」


無意識のうちに右手を伸ばしかけて、慌てて引っ込める。
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