続・幼なじみの不器用な愛し方
「中身、もしかしてどら焼き?」

「です。食べ過ぎもよくないかと思ったんですけど……」


カウンターの中から出てきてくれた石田さんに、紙袋を手渡す。

石田さんは嬉しそうにそれを受け取った後、わたしの顔を見て首を傾げた。


「……なんかあった?」

「……え?」

「俺の勘違いかもしらんけど……なんか、今朝会ったときより表情硬く見えるから」


気遣わしげな声色で問われて、張り詰めていた糸が緩みそうになる。

わたしが口を開きかけた時、石田さんはこちらを向きながらも、視線を僅かにずらした。

引っ張られるようにして振り返ると、


「ちょ……」


帽子もマスクも外した姿の有斗が、わたしのすぐ後ろに立っていた。

久しぶりに見る素顔は、笑うでも怒るでもなく、ただ真っ直ぐに石田さんを見据えている。

これでは、神崎有斗であることは誤魔化しようがない。

とても芸能人に詳しいようには思えないけれど、作家さんだったら映像作品だって見ているかもしれない。

どうだろう。わからない。でも、有斗の顔は一度くらい目にしたことがあるはずだ。


「石田さん。あの……」


恐る恐る石田さんの様子を窺うと、彼もまたわたしに目線を戻していた。
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