続・幼なじみの不器用な愛し方
「美月!」


早口で並び立てた言葉を遮るようにして、有斗が声を荒げた。

弾かれたように顔を見上げると、眉根を寄せ、悲痛な面持ちでわたしを見下ろす有斗がいた。

さっきは自分のことでいっぱいいっぱいで気が付かなかったけれど、その表情は心做しかやつれているようにも見える。


そのことを認めた瞬間、胸が鋭く痛む。

有斗のこんな顔……初めて見た……。

憔悴したような有斗を前に、わたしは息を飲んだ。


「いいから……ちゃんと話そう」


喜怒哀楽全てを混ぜたような瞳が、退路を断つ。

この期に及んで向き合うことを遠ざけようとした自分が恥ずかしくなる。


「……ごめん」

「俺も……でかい声出してごめん。……とにかく座ろう。立ちっぱなしはよくないだろ」


近くの席の椅子を有斗が引いてくれるので、今度は素直に従った。

有斗もまた、わたしの向かい側に腰を下ろす。


「……」

「……」


静かな店内に沈黙が落ちる。

わたしは何を言えばいいのかがわからなくて、有斗はきっと、何から言えばいいのかわからないでいる。

有斗にとってはそれくらいの衝撃で、しかし揺るぎない確信を持ってわたしと対峙しているのだと思う。


お互いに気配を探り合った末、口火を切ったのはわたしの方だった。


「なんで、ここがわかったの」
< 166 / 191 >

この作品をシェア

pagetop