続・幼なじみの不器用な愛し方
有斗と話している間も、わたしの緊張状態が伝わっていたのか、何度か張っては元に戻っていた。

張ること自体は当たり前のことらしいので、座って冷静に収まるのを待った。


「……」


キルシュの前でタクシーの送迎を待つ間、お母さん達への報告について有斗に訊ねられた。

昨日までの2日間は何も手がかりがなく、報告もしていなかったとのことだったので、今日のところは同じ対応をお願いした。

両親にとってもまた、小さくない衝撃を伴う報告になるだろうから。


そうこうしているうちにお腹の張りは引いてきて、夕食の準備をするべく立ち上がる。

明日、ここで繰り広げられるであろう出来事を思うと、気持ちが落ち着かなかった。




「おはよう」


翌朝。アパートを訪ねてきた有斗を見て、わたしは言葉を失った。


「な……なんでキャリーバッグ持ってるの!?」


開けた扉の前に立つ有斗の傍らには、アンバサダーを務めているブランドのキャリーバッグがあった。

絶句するわたしとは裏腹に、有斗は飄々とした様子でマスクを外し、素顔を曝け出している。
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