続・幼なじみの不器用な愛し方
「……っ!?」


扉の小さなガラスから差し込む僅かな光だけが漏れる空間で、背後から大きな温もりに包まれた。

懐かしいありのままの有斗の香りが鼻腔に広がって、鼓動が駆け足になる。


「ちょっと、いきなり……っ」

「──やっと、抱き締められる」


絞り出したような掠れた声が、顔を埋められた首元でくぐもって響く。

回された腕は小刻みに震えていて、反駁しかけたわたしは言葉を飲み込んだ。


「……今日うちがいいって言ったの、もしかしてこのため?」

「あぁ。外じゃおまえ、怒るだろ」

「あ……当たり前じゃんっ」

「昨日だって、場所を借りてる手前、我慢してたんだからな」


更に力が込められる。

だけど、わたしが苦しくない強さで、お腹にも負担がかからないようにしてくれていることがわかる。


「あの人に、不義理なことも出来ねーし」

「あの人って……石田さんのこと?」

「うん。こっちで世話になってんだろ」


声色に、嫉妬の類は混ざっていない。

逞しい腕の中で、わたしは素直に頷く。


「すごく良くしてもらってる。年の離れた兄妹がいたら、こんな感じかなぁって思う」

「俺らどっちも1人っ子だもんな」

「うん。10も歳が離れてるから、つい甘えてばっかりになっちゃうの」
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