続・幼なじみの不器用な愛し方
わたしが答えると、有斗はスマホをポケットから取り出して何やら操作をし始めた。


「……何してるの?」

「何って、スケジュールに入れてんだよ。忘れることなんか絶対ねーけど、ちゃんと記入してた方が間違いないだろ」


有斗の声は心なしか弾んでいるように聞こえた。

わたしは、きゅっと唇を引き結ぶ。

今、どんな顔をするのが正解なのかわからなかった。

そんなわたしの様子を気にかける素振りを見せず、有斗がわたしを見る。


「ってか、まめちゃんって? 赤ちゃんの名前、“まめ”にすんの? だったら俺、さすがに物申したいんだけど」

「そ、そんなわけないでしょ!?」


令和の時代に、我が子に“まめ”と名付ける勇気はない!

思わず食いかかってしまったわたしに、有斗は屈託のない笑みを浮かべた。


「わりー、冗談。お腹の中にいる間の、あだ名みたいなもん?」

「……そうだよ。胎児ネームって言うの。初めは本当に小さかったから、まめちゃん」

「へぇ。それが、ここまで大きくなってくれたんだな」


慈しみに満ちた視線が、わたしの大きくなったお腹に向けられる。

それは、生まれてからずっと一緒にいたわたしでさえ初めて見る顔で、心を大きく揺り動かされる。


「美月」

「……何」

「嫌じゃなかったら……まめのこと、撫でさせてくんねーかな」
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