続・幼なじみの不器用な愛し方
血の繋がった父親の温もりをまめちゃんに感じさせてあげる。──それは、叶わない光景のはずだった。


「なんで泣くんだよ。泣くほど嫌かよ」

「ちが……っ」

「じゃあ、嬉しい?」


……いじわるだよ。わかってて聞くなんて。

いじわるなのに、声音はとろけるように優しい。

この人とまめちゃんの成長を見守っていくことが出来たら、どんなに幸せだろう。


「嫌だったら払いのけていいよ」


変わらぬ温度で呟いてから、身を乗り出してお腹にそっと手を伸ばしてくる。

大きな掌の感触を感じて、また視界が滲んでいく。


どうしよう、幸せすぎるよ。

ねぇまめちゃん。

この人が、あなたのパパだよ。


「……有斗」

「んー?」

「ごめん、なさい……っ」


泣くのはずるいと思っていたから目元を拭ったのに、その熱は次から次へと溢れ出してきた。


「ごめんなさい。結婚しようって言ってくれたのに。あの時も今も、有斗はいつだって真っ直ぐに向き合ってくれたのに……!」

「それは……昨日も言ったけど、」

「怖かったの。まめちゃんがお腹にいることがわかって、現実を処理しきれなくなった。考えることを放棄して、ただ逃げたんだよ……っ」


有斗のためだけだったと言い切るのはあまりにずるい。

わたしに全てを背負う覚悟があれば、有斗をこんなにも傷つけることなんてなかった。

まめちゃんと有斗、2人の親子の時間を奪うこともなかった。
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