続・幼なじみの不器用な愛し方
『あと、中辻夫妻な。めちゃくちゃ怒ってたぞ、主に藤堂』

「う……」

『心配で式の準備に全然手をつけられなかったってさ。帰って来たら直接文句言いにいくから、気をつけて帰ってこいって』


夫婦になった旧友2人との思い出が蘇り、胸が詰まる。

涙の波から逃れるように、慌てて舵を切った。


「事務所はなんて?」

『近藤さんがめちゃくちゃ頑張ってくれてる。今クールも来クールもドラマ出てねーし、思ってたよりすんなりいきそう』

「ほんと?」

『あぁ。関係各所に先に急いで伝えて、10月末には発表できると思う』


10月末だったら、まめちゃんはまだお腹の中だ。


「予定日まで1ヶ月あるし、その頃には落ち着いてるかな」

『大丈夫だろ。予定日前後は何とかしてスケジュール調整出来るようにするって、近藤さんも言ってくれてるし』

「近藤さんには頭上がんないね」


タイトなスケジュールの中、有斗も近藤さんもスピーディーに動いてくれている。

2人だけでなく、わたしの知らないところでたくさんの人が動いてくれているのだと思うと、身が引き締まる思いだった。




「いよいよ明日か」


10月5日の昼下がり。

コンビニから帰ってきた石田さんが、手に提げていた袋からシュークリームをわたしに差し出しながらぽつりと言った。
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