続・幼なじみの不器用な愛し方
「本当にお世話になりました」

「こちらこそ。店番手伝ってくれたおかげで、仕事に集中出来た。ありがとう」


わたしがいるカウンターを覗き込み、足元の棚に置いていた紙袋を取り出してそれも差し出してくる。


「約束してたやつ。ちゃんと頑張ったみたいやから」


約束。

わたしが頑張ったら、ご褒美に石田さんの本のタイトルを教えてほしい。

有斗と話をする前、わたしは確かにそう言った。


「ま、まさか現物ですか」

「タイトル言うたらどうせ買うんやろ。見本誌余ってたから、適当に放り込んどいた」


み、見本誌? 余る……?

恐る恐る紙袋に手を伸ばすと、ずっしり重い。1冊の重さじゃない!

中をそろりと覗き込むと、単行本と文庫本がそれぞれ3冊ずつ入っていた。

そのうち、2つの作品名に覚えがある。本屋さんで見かけたものと……もしかすると、映像作品になっているもの。


「ま、前から思ってましたけど……石田さんって実はめちゃくちゃすごい人ですよね……?」

「さぁ? おたくの婚約者さんよりはすごくないと思うけど」


その返答がもう物語っている。

有斗を前にしてもさほど驚きはしなかったことにも納得だ。


「俺さぁ。秋山さんら見て、次に書きたい話決めてん」

「わたし達を見て……?」
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