続・幼なじみの不器用な愛し方
日付が変わる頃、キャップを深く被った有斗がやってきた。

玄関先で迎え入れながら、首を小さく振る。


「さっきまでお母さんと電話してたから平気だよ。有斗の方こそ、仕事終わりでしょ? 無理して来なくても、明日でよかったのに」


当初の予定では、引越しの当日の朝にこっちに来る予定だった。

仕事終わり、東京駅からの最終に間に合いそうだからと連絡が来たのは、ほんの数時間前だ。


「んなこと言うなよ。少しでも早く会いたかったんだよ」


洗面所で手を洗い、戻ってきたかと思えば流れるような仕草で唇を奪われた。

逃げようとしても、回された腕がそれを許さない。


「ん……んー!?」

「はは、真っ赤」

「あ……有斗のせいでしょ!?」

「寂しさに耐え抜いた俺の努力に気付かない美月のせいだよ」


鼻先が触れ合う距離で有斗がいじわるに笑い、わたしの首元にかかっている指輪を弄んでいる。

有斗が再び薬指に嵌めてくれた指輪。

妊娠中は浮腫みやすく、とれなくなってしまうと場合によっては切断しなければならないこともあると聞き、今もネックレスにして身につけている。

結婚指輪は、向こうに戻ってから2人で選びに行く予定だ。




「だいぶすっきりしたな」


お風呂上がりの有斗が、持参したスウェット姿で部屋を見回す。
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