続・幼なじみの不器用な愛し方
幼少期から使っているベッドの上には、少しへたったクラゲのぬいぐるみが転がっていて、わたしをぼんやりと見つめていた。

高校生の時、一緒に行った水族館で有斗が買ってくれたぬいぐるみ。

別れ際、玄関先で恥ずかしそうに渡してくれたっけ。


「……懐かしいなぁ」


あの日から、随分遠くへ来てしまった。

ベッドに横たわるクラゲをそっと撫でてから、強く強く抱き締めた。




翌日、閉院後に院長先生とリーダーに時間をとってもらって話をした。


一番に妊娠したことを伝えると、2人はひどく驚きながらも喜んでくれた。

新卒の時からお世話になっている2人におめでとうと言ってもらえて、心から嬉しかった。この子の存在を肯定してあげられた気がした。


一呼吸置いた後、頭を深く下げて退職したい旨を伝えた。出来れば、今すぐにでもと。

急な話で申し訳ないと、何度も何度も詫びた。

2人は困惑しつつも、遠慮がちにその訳を尋ねてきた。産休育休制度もあるのだし、体調が優れないようだったら早めに休みに入っても構わないとまで言ってくれた。

本当に、なんて恵まれた環境だろう。
< 72 / 132 >

この作品をシェア

pagetop