続・幼なじみの不器用な愛し方
「諸々の事情は明海さんから電話で聞いてます」


淡々と言われ、喉元まで出かかっていた言葉を飲み込んだ。

明海さんは、言いにくいことを予め伝えてくれていたみたいだ。


「1階は一般の人も利用できるコワーキングスペースになってて、2階と3階が居住区。間取りは1Kで、各階3部屋ずつの小っさいアパートです」


オーナーであるアパートの説明をしてくれたのだと気づくまでに数秒かかった。

明海さんがスマホで見せてくれた外観や室内の写真は、シンプルだけどオシャレな様子が伝わってきて思わず心惹かれた。

となると心配になるのは家賃だったけれど、思っていたよりも安くて驚いた。ぎりぎり予算の範囲内だ。

空き部屋があったことが不思議で仕方ない。


「わたしとしてはこの上なくありがたいお話なんですけど……わたし、妊娠してて。ご迷惑をおかけするかもしれなくて……」


戸数が少ないのなら、尚のこと迷惑をかけてしまうのでは。

そう思って訊ねたわたしを、石田さんがちらりと見る。


「諸々の事情は明海さんから聞いてます」


同じ台詞を静かなトーンで言われて、わたしはぐっと押し黙ってしまった。

その様子を見た明海さんが、ばしんと石田さんの背中を叩く。
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