続・幼なじみの不器用な愛し方
わたしの体調を気遣ってくれる明海さんに、

『色々と落ち着いて、今は暇を持て余してるくらいです』

と言ったところで流れが変わった。


明海さんは近くでパソコン作業をしていた石田さんに視線を投げ、

『じゃあ、ここの簡単な雑務手伝ってもらったら?』

と、驚きの提案をしたのだった。


羅列する文字からふと顔を上げ、店内をくるりと眺める。

入り口付近の席で作業をしていたスーツ姿の女性が席を立つ気配がしたので、会計の準備をする。

コワーキングスペースといえば効率を重視したようなシステムも多い印象の中、ここ、キルシュは入店時間をアナログで管理したりと、かなり前時代的なシステムのように思う。


「ありがとうございましたー。またお待ちしてます」


女性を送り出し、使用していたテーブルと椅子を簡単に拭き上げる。

再びカウンターの奥に戻ろうとしたところで、パソコンに向かって顰めっ面をしている石田さんの姿が目についた。……また難しい顔してる。


ここでわたしが店番をするという話に、彼は初め難色を示した。

これまで自分1人でやってきたのだからと言う石田さんを、本業の手が止まるのが嫌って前に言ってたやろ、と明海さんは一蹴した。
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