続・幼なじみの不器用な愛し方
「えっ! 質問返しありなんですか!?」


サクッと教えてもらえると思っていたので、肩透かしを食う。

そんなわたしを見て、また石田さんがメガネの奥で笑った。


「すみません、反応おもろいからつい」


言いつつ、届いた荷物の包装を乱雑な手つきでべりべりと剥いでいく石田さん。

そこから出てきたのは、大きなクリップで留められた無数の紙の束だった。


「ゲラです。同じのが2部あって、紙媒体にしたときに問題がないかとか、文章のバランスとかを見ます」

「え、えっと……」

「まぁ、平たく言えば物書きです。一応これで飯食うてます」


待って待って待って! 理解が追いつかない!

手元で閉じた読みかけの文庫本の背表紙には、送り主と同じく[創風社]の文字が並んでいる。


「えっと……書いてらっしゃるのは、ビジネス書とか自己啓発本とか、そういう……?」

「俺が人に教示できる何かを持ってる人間には見えんやろ」


控えめな笑顔だけれど、たぶん彼の中ではかなり上位の笑みなのだろう。

そして、わたしの反応を見て楽しんでいる!

この人……大人に見えて、案外子どもかもしれない!


「じゃあ、もしかして小説家さんですか?」


やけっぱちになって聞くと、石田さんは右の口角をぎゅっと持ち上げた。まるで、頭の切れる少年のような仕草で。
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