天才幼女セラフィーヌ、ツンデレ辺境伯様とただいま領地改革中!
「気になっていたんだが、いい加減そのおじちゃまというのをやめないか。俺はまだ二十代だ」
「じゃあ、なんてよべばいいの?おにいちゃま?」

レオンハルトの動きが、ぴたりと止まる。

「……おにい……?」
「だって、セラより大きいから、おにいちゃまでしょ?」

私が小首を傾げると、何だかそわそわし始める。
はっきり言って挙動不審だ。おまけに耳の先まで真っ赤になっている。

(え、あの冷酷貴族ムーブをしていた人と同一人物……??)

レオンハルトは額に手を当てて、大きくため息をついた。

「……好きにしろ」
「じゃあおにいちゃま、セラのおやさいのはなし聞いてくれる?」
「……はいはい、野菜の話な」

ちなみにエリクとエリザは、すっかりレオンハルトに懐いて少しも離れない。
膝に一人ずつ抱っこされたまま、ご機嫌で笑っている。

(さっきまではめちゃくちゃ悔しかったけど……よくよく見るとイケメンと赤ちゃんの組み合わせって絵力強くない?萌える……!)

ソファに座ったレオンハルトは、私のお絵描き資料を受け取ると真剣に読んでくれた。

「野菜を作って販売するアイデアは悪くないが、収穫まで時間がかかる。ワイン造りも同様だ。設備投資も必要になるし、利益が出るのはさらに先になる」

(そう、問題はその間をどう繋ぐかってことよね)

レオンハルトの指摘に、私は勢いよく手を挙げた。

「じゃあね、そうこにあるおやさいを使うのは?」
「倉庫?」

この地域一帯では、売れ残ったり収穫した余剰分の農作物を村ごとの倉庫に保管している。
今朝、マルタにお願いしてその一つの貯蔵庫を見せてもらいに行った。

「たまねぎとか、じゃがいもにさつまいも……あと、りんごもいっぱいあったの」

今年はどの野菜も豊作だったのか、想像以上の量が眠っていた。

「野菜を売るなら鮮度が命だ。時間が経って劣化したものは売れないぞ」
「だからね、それを加工するの」

私は身を乗り出して、お絵描き資料の瓶詰めの絵を指さす。

「かたちが悪かったり、キズがあって売れないおやさいでも、おりょうりにしたら売れるんじゃないかな?」

ポタージュや野菜の煮込み、果物ジュース。
エリクとエリザのような赤ちゃん用に、ペースト状にして離乳食のようにすることもできる。

形が悪かったり、少し傷んだ農作物も、加工品になった途端に価値が生まれる。
特にこの辺りは水質がいいと評判なら『〇〇産』とラベリングして他との差別化、ブランド化も狙える。

前世でも手掛けた、食品ロス削減プロジェクトの応用だ。
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