空色の春
え、っー

「なんでそんなことわかるの?」

伊藤恋路と私は、一回も同じクラスになったことはない。

なったとしても、陽キャ一軍の伊藤恋路と

ぶりっ子で一定数から嫌われてる私となんて、あまり関わらないだろうけど。

「去年か一昨年の運動会の時、お前1組だっただろ?
なんか1人めっちゃ遅いやついるなぁって思って。」

私は四年生のクラス以外全て1組なため、伊藤恋路が言っていることは間違いなく、私だろう。

「どーせ、本気で走ってないやつなんだろうなぁって。体育着の名前見たら“水月”だし。お前、ぶりっ子って有名なんだよ。」

それも知ってる。

ぶりっ子って言っても、男子に媚びを売ったりはしていない。

髪型がツインテールなのと、誰もが一度は通る

“男子は敵、女子は味方”の道を通っていないからだと思う。

もう自分が悪いことで有名で、その事について何か言われるのは慣れたけど…

まさか、伊藤恋路みたいな有名人も私の事を知っていたなんて。

「変に頑張ってる表情してんのかな、って顔見たらガチで辛そうに、でも必死に走ってて。ああ、こいつはできないけど、頑張るんだなって。」


…ー


「そんな事、初めて言われた。」

「だろうな。てか、お前全然ぶりっ子じゃねえし。」

「それもなんでわかるの?」

「喋り方。」

え、喋り方?

無駄に声高くて、意識してないのにぶりっ子っぽいって言われるのに。

「後、ぶりっ子だったら絶対、人気者の俺に媚び売るに決まってんのに、お前全然話しかけてこないじゃん。」

「な、自意識かじょーですか?」

「うっせえ」

あはは、と2人で笑う。
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