空色の春
耳が心臓になったように、

どくん、どくんと大きな音がなる。

早く通り過ぎれば良いのに、

ここにいたって傷つくだけなのに、

足が進まない。


「凪斗〜。今日暇?」

「保護者会あるだろ。遊べねぇよ。」


凪斗のお母さんは保護者会のリーダーだから、お母さんが保護者会に入っている佐々山さんと仲が良いのは知っていた。

でも、こんなに仲が良かったんだ…

佐々山さんが誘う前に、誘うってわかってて。

何度も遊んだ事があるような口ぶりで…


「てか、結菜(ゆいな)さ。昨日のー…」

ーー極めつけは、呼び捨て…

私はずっと、“水月”なのに…

佐々山さんの方も、それを特別じゃないことのように会話を続けている。

…なんか、さ。


なんか、もう、付き合っているみたいじゃない?

私につけ入る隙なんて、どこにもないんじゃない?

もう、どんなにがんばったって無理な気がする。

キーンコーンカーンコーン…

重い足取りで家庭科室をどうにか通り過ぎた頃、チャイムが鳴り響いた。

…なら、

もういっそのこと、









ーー凪斗のこと冷めてみようかな?

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