仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「夏生さん、里依紗さん……!」
 「こんばんは。あら、神谷さんもご一緒なの?」


 里依紗が修吾の顔を見て、わずかに目を細める。


 「偶然ですね。ここで会うなんて」
 「こんばんは」


 修吾は穏やかな調子で会釈した。


 「せっかくだし、一緒にどう?」


 母の蛍がすかさず笑顔で勧め、奥から座布団を運んできた。


 「……お母さん……」


 誌史は小声で抗議するが、にこにこ顔の母には敵わない。


 「じゃあ、お邪魔しちゃおうかな。ね、夏生くん」
 「そうだな。そうさせてもらおうか」


 ふたりが揃って〝いいよね?〟という目線を送ってきたため、誌史は咄嗟に修吾を見た。彼が軽くうなずいたため、「どうぞ」と手で席を示す。
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