仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「ありがとうございます……でも、自分でできますから」


 恐縮して誌史は遠慮するが、夏生はにっこり笑う。


 「まぁそう言わずにほら」


 夏生から渋々皿を受け取ると、修吾がほんのわずかに眉を寄せるのが見えた。

 (子どもっぽいって思われた……!)

 いつも料理を取り分けてもらっているように修吾の目に映ったのかもしれない。ただでさえひと回りも年が離れているのに、これでは年齢差をさらに感じさせてしまうだろう。

 しっかりしなくてはと背筋を伸ばす誌史のいっぽうで、里依紗は修吾の隣に自然と腰を寄せるように座っていた。

 (……どうしてだろう。なんかちょっと嫌だな)

 修吾との間に恋愛感情はなく、あくまでも偽りの関係なのにモヤモヤする。里依紗が自分とは違って大人の女性で、比較にならないほど綺麗だからなのか。いつもの誌史だったら〝あぁお似合いだな〟と思う場面なのに。

 (ダメダメ。いったん落ち着かなくちゃ)
< 117 / 289 >

この作品をシェア

pagetop