仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
閉店後、父と一緒に片づけを終え、食器を洗い、洗濯物を干してようやくひと息つく。畳に腰を下ろした瞬間、スマートフォンが震えた。画面を見て修吾からだとわかり、心臓が跳ねる。
開くと、穏やかな文面が並んでいた。
【お母様の具合はどうだろう。容態が落ち着いているといいが】
【店は忙しいんじゃないか。体を無理していないか心配だ】
その後に続いた一文に、指先が止まった。
【誌史がマンションに戻ったら、話したいことがある】
心が一気に冷えていく。
(……やっぱり。終わりにするってことなんだ)
頭では否定したくても里依紗の言葉と重なり、どうしても悪い方向へと結びついてしまう。
喉の奥から熱が込み上げながらも、なんとか返信を打ち込む。
【母は容態が安定していて、まもなく退院できそうです。店も常連さんのおかげで順調です】
そこでいったん指が止まり、深く息をついて最後の一文を添えた。
【お話の件、わかりました】
送信ボタンを押した瞬間、全身をひどい倦怠感が襲う。画面を伏せて膝の上に置き、誌史はただ静かに目を閉じた。