仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「恭弥くんは不思議な雰囲気のある子ですね」
 「あいつは昔からああいう感じ。言葉は少ないけど、よく人を見てる。たぶん、今日もいろいろ考えてたと思う」
 「最後におめでとうって言ってくれて、嬉しかったです」
 「だろ? あれ、あいつなりの精一杯なんだよ」


 誌史は窓の外に目をやった。
 風に揺れる街路樹の葉が、きらきらと光を反射している。玄関に足を踏み入れたときの緊張が嘘のよう。


 「なんか、ちゃんと家族になるって、こういうことなんだなって思いました」
 「うん?」
 「うまく言えないけど……誰かの家に〝お邪魔する〟んじゃなくて、これからは〝ただいま〟って言える場所が増えるんだなって」


 修吾は一瞬だけ誌史を見て、また前を向いた。


 「そうだな。俺も誌史の家に挨拶に行ったときに同じように思ったよ。誌史と出会えてよかった」
 「私もです」


 誌史は心から強くそう思った。
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