仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「さて、これで両家の了解は得られたわけだし、今夜はふたりでお祝いといこうか」
 「いいですね!」
 「ホテルを予約してある」
 「ホテル!? あっ、だからお泊りセットを準備するようにって」


 声が裏返った。今の今までその存在は忘れていたが、そういうわけだったのか。


 「なんだと思ってた?」
 「修吾さんの実家に泊まるのかもって」


 どこに泊まるのかしっかり確認しなかった誌史も悪いが。
 修吾はぷはっと吹き出した。


 「いくら俺の実家だからって、初めましての家に泊まらせるようなことはしない」
 「よかったです」


 その言葉が正しいかはわからないが、安心したのは事実である。


 「とにかく」


 修吾はそこで言葉を止める。ちょうど赤信号で停車し、誌史を見た。
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