最強の騎士団長に嫁いだ偽りの公爵令嬢は、溺愛から逃げられない
「ノマールって……」
「ああ、カスパル・トゥクル辺境伯の領地にあるエルラントだ。あそこに、ヴァルディエ公爵の秘密があると睨んでいる」
「まさかっ」
リーゼは驚いて声をあげた。
「そんなものはないと知っているのか?」
彼は何か誤解している。しかし、もし、誤解じゃなかったら……。
「……エルラントにはいまだ、お父さまの管理する農民たちがいるのではありませんか?」
「そうだ。だからこそ、行くのだ。農民たちが何かを知っている可能性がある」
「レナート様が明日、エルラントへ向かうということを、お父さまはご存知ないですよね?」
「もちろんだ。しかし、あなたは手紙を入れ替えなかった。あなたの裏切りは直に明るみになる」
「では……、レナート様の動きを知ったら、お父さまは……」
「先回りして、エルラントの民を根絶やしにする可能性はある」
「そんな……っ」
リーゼは取り乱し、首を振った。
「エルラントの民は関係ありませんっ! お父さまの秘密なんてないはずですっ」
「なぜ、そう言える?」
「……わかりません」
「わからないなら……」
「でも、エルラントが攻撃されるようなことがあれば、リヒトも助かりませんっ」
リーゼは叫んでいた。
もう、隠し通せなかった。一番守りたいと思っていた弟を、自らの手で死に追いやる判断をしてしまった事実からはもう目を逸らせない。あの手紙をすり替えていたら、助けられたのに……。
絶望で青ざめた顔を、リーゼは両手で覆った。もう、どうしたらいいかわからない。
「リヒトとは?」
リーゼの手首をつかんで引き剥がし、シルヴィオは真剣な目で尋ねた。
「言えっ!」
「……リヒトは……弟です」
「弟だと? ヴァルディエ公爵に子息はいないはずだ」
「ああ、カスパル・トゥクル辺境伯の領地にあるエルラントだ。あそこに、ヴァルディエ公爵の秘密があると睨んでいる」
「まさかっ」
リーゼは驚いて声をあげた。
「そんなものはないと知っているのか?」
彼は何か誤解している。しかし、もし、誤解じゃなかったら……。
「……エルラントにはいまだ、お父さまの管理する農民たちがいるのではありませんか?」
「そうだ。だからこそ、行くのだ。農民たちが何かを知っている可能性がある」
「レナート様が明日、エルラントへ向かうということを、お父さまはご存知ないですよね?」
「もちろんだ。しかし、あなたは手紙を入れ替えなかった。あなたの裏切りは直に明るみになる」
「では……、レナート様の動きを知ったら、お父さまは……」
「先回りして、エルラントの民を根絶やしにする可能性はある」
「そんな……っ」
リーゼは取り乱し、首を振った。
「エルラントの民は関係ありませんっ! お父さまの秘密なんてないはずですっ」
「なぜ、そう言える?」
「……わかりません」
「わからないなら……」
「でも、エルラントが攻撃されるようなことがあれば、リヒトも助かりませんっ」
リーゼは叫んでいた。
もう、隠し通せなかった。一番守りたいと思っていた弟を、自らの手で死に追いやる判断をしてしまった事実からはもう目を逸らせない。あの手紙をすり替えていたら、助けられたのに……。
絶望で青ざめた顔を、リーゼは両手で覆った。もう、どうしたらいいかわからない。
「リヒトとは?」
リーゼの手首をつかんで引き剥がし、シルヴィオは真剣な目で尋ねた。
「言えっ!」
「……リヒトは……弟です」
「弟だと? ヴァルディエ公爵に子息はいないはずだ」