最強の騎士団長に嫁いだ偽りの公爵令嬢は、溺愛から逃げられない
そして、リヒトを助けるために、シルヴィオが単身で飛び出していったことなど、すべてを話し終える頃には、レナートの表情から笑みは消え、険しいものに変わっていた。
彼はテーブルに両肘をつくと、思案するような面持ちで口を開いた。
「リーゼ嬢、あなたの話に嘘偽りがないと仮定して、私にはどうしてもわからないことがある。13年前、なぜ、ヴァルディエ公爵があなたを王都へ連れ去ったのだろう。何か心当たりは?」
「わかりません……。ただ、王都へ向かう馬車の中で、兵士たちが『リーゼという名前を恨め』と……」
「名前を恨め……か」
レナートは頬杖をつき、虚空を見つめた。やがて、ひとつの仮説にたどり着いたように、話し始めた。
「ヴァルディエ公爵には『リーゼ』という、あなたと同じ年頃の娘がいた。彼女は生まれつき病弱で、10歳まで生きられないと言われていたが、その身代わりを探していた……と考えられるだろうか」
「身代わりって……なぜですか?」
問いながら、考えられることはいくつかあった。
アルブレヒトは我が娘を王妃にと願っていた。その野望を果たすためなら、偽物を用意することも厭わなかったのかもしれない。
「当然、娘が亡くなったことを隠すためだろうな」
「確かに、あの屋敷には私以外の子どもはいませんでしたけれど……」
「ではなおさら、間違いない。本物のリーゼ・ヴァルディエは病死したのだ」
彼はテーブルに両肘をつくと、思案するような面持ちで口を開いた。
「リーゼ嬢、あなたの話に嘘偽りがないと仮定して、私にはどうしてもわからないことがある。13年前、なぜ、ヴァルディエ公爵があなたを王都へ連れ去ったのだろう。何か心当たりは?」
「わかりません……。ただ、王都へ向かう馬車の中で、兵士たちが『リーゼという名前を恨め』と……」
「名前を恨め……か」
レナートは頬杖をつき、虚空を見つめた。やがて、ひとつの仮説にたどり着いたように、話し始めた。
「ヴァルディエ公爵には『リーゼ』という、あなたと同じ年頃の娘がいた。彼女は生まれつき病弱で、10歳まで生きられないと言われていたが、その身代わりを探していた……と考えられるだろうか」
「身代わりって……なぜですか?」
問いながら、考えられることはいくつかあった。
アルブレヒトは我が娘を王妃にと願っていた。その野望を果たすためなら、偽物を用意することも厭わなかったのかもしれない。
「当然、娘が亡くなったことを隠すためだろうな」
「確かに、あの屋敷には私以外の子どもはいませんでしたけれど……」
「ではなおさら、間違いない。本物のリーゼ・ヴァルディエは病死したのだ」