最強の騎士団長に嫁いだ偽りの公爵令嬢は、溺愛から逃げられない
レナートがあからさまな不快感を露わにした瞬間、なだれ込むようにして部屋へ現れたのは、冷たい目をした男と、深緑のマントをまとう兵士たちだった。
「見つけたぞ、リーゼ」
「お父さま……、なぜここに……」
アルブレヒトはいきなりリーゼの腕をつかみあげると、彼女の問いには答えず、ゆっくりとレナートに向き直った。その口もとには、残忍な笑みが浮かんでいる。
「まさか、ブラッツ公爵ともあろうお方が、このような真似をされるとはな」
「何をおっしゃっているのやら。土足で我が屋敷に踏み込んで、その態度。感心しませんね」
レナートがやれやれと腰をあげると、アルブレヒトは声を荒げた。
「しらばくれるな! 私の娘を屋敷から連れ出し、ここに監禁しているとの通報があったのだ」
「……人聞きが悪い。私は親愛なるシルヴィオのご夫人をおもてなししているだけですよ」
「シルヴィオは馬を駆けて出かけたそうだな。これから夜も更けるというのに、若き妻だけを男のもとへ行かせる夫がいるものか」
「シルヴィオとは旧知の仲ですからね」
「何が、旧知だ。都合よく使っておるだけではないか。さあ、リーゼ。……怖い思いをしたのではないか?」
アルブレヒトは芝居がかった声音で案じると、リーゼの肩を抱く。その瞬間、反射的に彼女は身をよじって叫んでいた。
「ち、違います! 私は自分の意志でここに来たのです!」
「黙りなさい。あんな男と結婚させたばかりに、私に反抗するようになろうとは……、なんと嘆かわしい」
「わ、私は……本当に、私の意志で……。シルヴィオ様に何を言われたわけでも……」
アルブレヒトはグッとリーゼを抱き寄せると、耳元に顔を近づける。
「シルヴィオは一人でエルラントへ向かったのだろう? なぜだ? エルラント解放軍と示し合わせるためか?」
「な、何をおっしゃっているのか……」
「わからぬのか? やつは暁の反乱軍の意志を継ぐものといううわさがある。私は心配しているのだよ」
「見つけたぞ、リーゼ」
「お父さま……、なぜここに……」
アルブレヒトはいきなりリーゼの腕をつかみあげると、彼女の問いには答えず、ゆっくりとレナートに向き直った。その口もとには、残忍な笑みが浮かんでいる。
「まさか、ブラッツ公爵ともあろうお方が、このような真似をされるとはな」
「何をおっしゃっているのやら。土足で我が屋敷に踏み込んで、その態度。感心しませんね」
レナートがやれやれと腰をあげると、アルブレヒトは声を荒げた。
「しらばくれるな! 私の娘を屋敷から連れ出し、ここに監禁しているとの通報があったのだ」
「……人聞きが悪い。私は親愛なるシルヴィオのご夫人をおもてなししているだけですよ」
「シルヴィオは馬を駆けて出かけたそうだな。これから夜も更けるというのに、若き妻だけを男のもとへ行かせる夫がいるものか」
「シルヴィオとは旧知の仲ですからね」
「何が、旧知だ。都合よく使っておるだけではないか。さあ、リーゼ。……怖い思いをしたのではないか?」
アルブレヒトは芝居がかった声音で案じると、リーゼの肩を抱く。その瞬間、反射的に彼女は身をよじって叫んでいた。
「ち、違います! 私は自分の意志でここに来たのです!」
「黙りなさい。あんな男と結婚させたばかりに、私に反抗するようになろうとは……、なんと嘆かわしい」
「わ、私は……本当に、私の意志で……。シルヴィオ様に何を言われたわけでも……」
アルブレヒトはグッとリーゼを抱き寄せると、耳元に顔を近づける。
「シルヴィオは一人でエルラントへ向かったのだろう? なぜだ? エルラント解放軍と示し合わせるためか?」
「な、何をおっしゃっているのか……」
「わからぬのか? やつは暁の反乱軍の意志を継ぐものといううわさがある。私は心配しているのだよ」