最強の騎士団長に嫁いだ偽りの公爵令嬢は、溺愛から逃げられない
「そのような者がいるのですか?」
「はい。……入りなさい」
レナートが短く告げると、扉のそばに立つ衛兵が扉を開く。その先には、少年の姿があった。
「……俺が証人だっ!」
凛とした声が響き、王国騎士団の兵士に守られながら、その少年は堂々と進み入ってきた。
栗色の髪に、意志の強い瞳。ひと目でわかる。それは、リーゼが探し続け……、必ず生きていると信じていた弟の、立派に成長した姿だった。
「リヒト……!」
リーゼは両手で口を覆い、その場に崩れ落ちそうになる。
シルヴィオに支えられる彼女に、リヒトは力強くうなずくと、アルブレヒトを指差した。
「そこにいる男は、カスパル・トゥクルです! 町長だったじいちゃんが言ってました。本物のヴァルディエ公爵は、エルラントにあるトゥクルの墓に、幼い娘と一緒に埋められたんだって」
「娘って……、まさか」
リーゼのつぶやきに、リヒトが正義心に満ちた目でうなずく。
まだ幼い彼は、あんなことがなければ、あどけなく笑う日々を送っていたはずだった。これまでどれほどの苦労をしてきたのか、想像を絶するような厳しい顔つきをしている。
シルヴィオもそう感じたのだろう。リヒトのあとを引き継ぐように話す。
「陛下。すでにエルラントへ向かった王国騎士団より、その墓から二体の遺骨が発見されたとの報告が入っています」
「……そうですか。身元を示すものは?」
「本物のヴァルディエ公爵しか持つはずのない家紋入りの指輪と、娘に贈ったとされる銀のブレスレットも、墓から見つかりました。……さすがに、トゥクル辺境伯も、憎き異母兄の遺品を身につけたくはなかったのでしょう」
シルヴィオが言い終えると、アルブレヒトが血走った目で叫んだ。
「嘘をつけっ! 我が領地を、騎士団風情が荒らしたというのかっ。すべてはヨハン・ノイエルの仕業だ! 私がカスパルだったとして、私が兄を殺した証拠などどこにある!」
「殺したんですね?」
「……クッ!」
シルヴィオの冷ややかな問いに、アルブレヒトは言葉を詰まらせる。
「はい。……入りなさい」
レナートが短く告げると、扉のそばに立つ衛兵が扉を開く。その先には、少年の姿があった。
「……俺が証人だっ!」
凛とした声が響き、王国騎士団の兵士に守られながら、その少年は堂々と進み入ってきた。
栗色の髪に、意志の強い瞳。ひと目でわかる。それは、リーゼが探し続け……、必ず生きていると信じていた弟の、立派に成長した姿だった。
「リヒト……!」
リーゼは両手で口を覆い、その場に崩れ落ちそうになる。
シルヴィオに支えられる彼女に、リヒトは力強くうなずくと、アルブレヒトを指差した。
「そこにいる男は、カスパル・トゥクルです! 町長だったじいちゃんが言ってました。本物のヴァルディエ公爵は、エルラントにあるトゥクルの墓に、幼い娘と一緒に埋められたんだって」
「娘って……、まさか」
リーゼのつぶやきに、リヒトが正義心に満ちた目でうなずく。
まだ幼い彼は、あんなことがなければ、あどけなく笑う日々を送っていたはずだった。これまでどれほどの苦労をしてきたのか、想像を絶するような厳しい顔つきをしている。
シルヴィオもそう感じたのだろう。リヒトのあとを引き継ぐように話す。
「陛下。すでにエルラントへ向かった王国騎士団より、その墓から二体の遺骨が発見されたとの報告が入っています」
「……そうですか。身元を示すものは?」
「本物のヴァルディエ公爵しか持つはずのない家紋入りの指輪と、娘に贈ったとされる銀のブレスレットも、墓から見つかりました。……さすがに、トゥクル辺境伯も、憎き異母兄の遺品を身につけたくはなかったのでしょう」
シルヴィオが言い終えると、アルブレヒトが血走った目で叫んだ。
「嘘をつけっ! 我が領地を、騎士団風情が荒らしたというのかっ。すべてはヨハン・ノイエルの仕業だ! 私がカスパルだったとして、私が兄を殺した証拠などどこにある!」
「殺したんですね?」
「……クッ!」
シルヴィオの冷ややかな問いに、アルブレヒトは言葉を詰まらせる。