最強の騎士団長に嫁いだ偽りの公爵令嬢は、溺愛から逃げられない
***
「リヒトと、ゆっくり話せたか?」
寝室に戻ると、シャツのボタンに手をかけながら、ベッドのふちに腰かけるシルヴィオに声をかけられた。
「フィンを気に入ったみたいで、おしゃべりしているうちに寝入ってしまって……。エルナにお願いしてきました」
困り顔で答えると、シルヴィオはひどくおかしそうに眉を下げて笑った。
「しっかりした少年だが、まだ子どもだな。早速、明日から専属の侍女をつけよう。立派な騎士になってもらわねばならないからな」
「騎士……ですか?」
「ああ。言ってなかったか? 騎士団の入隊試験を受けてもらうつもりだ。彼を見ていると、かつての俺を見ているようでな」
「シルヴィオ様は……、ああ、いいえ……」
「気をつかう必要はない。俺は平民出身で、運良くレナートに拾われ、伯爵家の養子になれた。本来なら、ヴァルディエ公爵の娘と結婚できるような身分でもなかったが、騎士団長としての実績がそれを成し遂げた。リヒトにも、同じ可能性を与えてやりたいだけだ」
リーゼは黙っていた。
その運と努力で積み上げたもので得たのは、偽物の公爵令嬢だったのだ。それを知ったとき、彼はどれほど絶望しただろうか。想像するのも恐ろしかった。
「リーゼ、風呂はまだか?」
黙って突っ立っていると、シャツを脱ぎ捨てながら立ち上がるシルヴィオに尋ねられた。
「あ、はい。シルヴィオ様は?」
「俺は今から入るところだ。……どうだ、リーゼ。一緒に入るか?」
「えっ」
ドキンッと胸が跳ねる。
「いっ、一緒に……ですか?」
「あとでもいいが?」
「あ、あとって……?」
「……あまり待てそうにないのでな」
シルヴィオは熱のこもった瞳でリーゼを見つめる。
「リヒトと、ゆっくり話せたか?」
寝室に戻ると、シャツのボタンに手をかけながら、ベッドのふちに腰かけるシルヴィオに声をかけられた。
「フィンを気に入ったみたいで、おしゃべりしているうちに寝入ってしまって……。エルナにお願いしてきました」
困り顔で答えると、シルヴィオはひどくおかしそうに眉を下げて笑った。
「しっかりした少年だが、まだ子どもだな。早速、明日から専属の侍女をつけよう。立派な騎士になってもらわねばならないからな」
「騎士……ですか?」
「ああ。言ってなかったか? 騎士団の入隊試験を受けてもらうつもりだ。彼を見ていると、かつての俺を見ているようでな」
「シルヴィオ様は……、ああ、いいえ……」
「気をつかう必要はない。俺は平民出身で、運良くレナートに拾われ、伯爵家の養子になれた。本来なら、ヴァルディエ公爵の娘と結婚できるような身分でもなかったが、騎士団長としての実績がそれを成し遂げた。リヒトにも、同じ可能性を与えてやりたいだけだ」
リーゼは黙っていた。
その運と努力で積み上げたもので得たのは、偽物の公爵令嬢だったのだ。それを知ったとき、彼はどれほど絶望しただろうか。想像するのも恐ろしかった。
「リーゼ、風呂はまだか?」
黙って突っ立っていると、シャツを脱ぎ捨てながら立ち上がるシルヴィオに尋ねられた。
「あ、はい。シルヴィオ様は?」
「俺は今から入るところだ。……どうだ、リーゼ。一緒に入るか?」
「えっ」
ドキンッと胸が跳ねる。
「いっ、一緒に……ですか?」
「あとでもいいが?」
「あ、あとって……?」
「……あまり待てそうにないのでな」
シルヴィオは熱のこもった瞳でリーゼを見つめる。