転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
「すぅー、はぁ~。いいにおい、ですね、くりすちーぬさま!」

「ええ」

「おかしも、おいしそう! くりすちーぬさまは、あまいもの、おすきですか?」

「はい」

「えっと……ほかに、おすきな、たべものは?」

「どのようなものでも、ありがたく頂きます」

「ご、ごしゅみは?」

「特にこれといったものは。しいて挙げるとすれば、掃除でしょうか」

「そうじ! しゅごい! わたし、ニガテで、よくぽーらに、おこられちゃうんです」

「そうでしたか」

「はい……そう、なんです……」

 意地悪そうな方ではなくホッとしていられたのも束の間。クリスティーヌは終始うつむきがちで、返事も当たり障りのないものばかり。視線が合ってもすぐに下を向いて目をそらされてしまう。

 不機嫌ではなさそうだが、会話を楽しんでいる様子でもないため、次第に声をかけるのが申し訳なくなってくる。

 給仕の使用人が出ていくと、室内は気まずい静けさに包まれた。

(空気が重たい……! どうしよう⁉)

 困り果ててうつむくと、セレスティアの膝の上で丸くなって(くつろ)いでいたマリアベルと目が合った。

『なんだか、破談まっしぐらのお見合いみたいですわね。見ていて面白いわ』

(くぅ! 他人事だと思ってぇ! 助けてよぉ、マリアベル)

 (すが)るような眼差しを向けると、頼りになる猫妖精は『仕方ないですわね』とため息まじりに呟いた。

『緊張しているのは向こうも同じですわ。下手な前置きはやめて、言いたいことを言ってしまいなさいな。伝えたいことがあるのでしょう?』

 マリアベルの言葉に背中を押されたセレスティアは、小さく頷いて顔を上げ、意を決して口火を切った。


< 11 / 19 >

この作品をシェア

pagetop