転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
その夜、寝かしつけを終えたポーラが静かに部屋を出ていき、扉の向こうの気配が消えた頃。
寝たふりをしていたセレスティアはベッドからモゾモゾと起き上がり、月明かりが差し込む窓辺の椅子に腰かけた。
膝の上に飛び乗ってきたマリアベルを撫でながら、ため息まじりに問いかける。
「くりすちーぬさま、なんでおそと、でないんだろう……」
『気弱そうな感じの方ですもの。外に出るのが苦手なのではなくって?』
「でも、じっかにいたときは、おにわのていれ、すきだったって。マチのことにも、くわしいし……」
『ふぅん。根っからの引きこもりじゃないってことですわね。……じゃあやっぱり、初夜のあの言葉が原因なのかしら?』
「サヤのコトバ?」
『鞘じゃなくて、初夜。クリスティーヌが初めてこの屋敷に来た日の夜のことよ』
「ほう」
『……【ほう】ってアナタね。絶対ピンときてないでしょう。まったく、お子様なんだから』
マリアベルが、やれやれとため息をつく。
子供じゃないもんと言い返そうとしたセレスティアだったが、前世でも決して大人と呼べる年齢ではなく、今世に至っては幼児。
しかも『初夜』が如何なるものなのか想像できないのは事実のため、ぷくっと頬を膨らませるだけに留めた。
「そのショヤが、なに?」
『だから、アルフレッドがクリスティーヌに言い放った言葉が……。って、説明するより見せた方が早いわね。確か《緑の民》は、記憶を共有する術を妖精王から授かったと聞いたことがあるんですけど、セレスティア、アナタ使えるの?』
「う、うん。たぶん……。え、まって。まりあべる、のぞきみしたの? わるいこだね」
『人聞きの悪いこと言わないでくださいまし! アタクシは覗きなんて悪趣味なことしませんわよ! これは……そう! 通りかかったら、たまたま見かけてしまっただけですの!』
(えぇ? そんなことある?)
偶然と言い張るにはあまりにも苦しい言い訳だが、ここで追及したら確実にマリアベルの機嫌を損ねてしまう。
そのためセレスティアは空気を読み、疑いの眼差しを向けながらも「ふーん」と頷くだけにした。
『さあ! 記憶、共有するんですの? しないんですの?』
「するっ!」
『それなら、さっさとしなさいな。ほら!』
マリアベルはテーブルの上にぴょんと飛び移ると、オッドアイの目を閉じた。
「じゃあ、いくよ……!」
『ええ、いつでもどうぞ』
セレスティアは深呼吸をして、マリアベルのもふもふの頭に自身の額を優しく押し当てた。
柔らかな毛がまぶたに触れてくすぐったい。
「くふふっ。ふわふわぁ」
『こら、集中なさい、ノーテンキ娘』
「あい。ごめんなしゃい」
ぴしゃりと叱られてしまった。
セレスティアは小さく肩をすくめて目をつむり、今度こそ意識を集中させる。
寝たふりをしていたセレスティアはベッドからモゾモゾと起き上がり、月明かりが差し込む窓辺の椅子に腰かけた。
膝の上に飛び乗ってきたマリアベルを撫でながら、ため息まじりに問いかける。
「くりすちーぬさま、なんでおそと、でないんだろう……」
『気弱そうな感じの方ですもの。外に出るのが苦手なのではなくって?』
「でも、じっかにいたときは、おにわのていれ、すきだったって。マチのことにも、くわしいし……」
『ふぅん。根っからの引きこもりじゃないってことですわね。……じゃあやっぱり、初夜のあの言葉が原因なのかしら?』
「サヤのコトバ?」
『鞘じゃなくて、初夜。クリスティーヌが初めてこの屋敷に来た日の夜のことよ』
「ほう」
『……【ほう】ってアナタね。絶対ピンときてないでしょう。まったく、お子様なんだから』
マリアベルが、やれやれとため息をつく。
子供じゃないもんと言い返そうとしたセレスティアだったが、前世でも決して大人と呼べる年齢ではなく、今世に至っては幼児。
しかも『初夜』が如何なるものなのか想像できないのは事実のため、ぷくっと頬を膨らませるだけに留めた。
「そのショヤが、なに?」
『だから、アルフレッドがクリスティーヌに言い放った言葉が……。って、説明するより見せた方が早いわね。確か《緑の民》は、記憶を共有する術を妖精王から授かったと聞いたことがあるんですけど、セレスティア、アナタ使えるの?』
「う、うん。たぶん……。え、まって。まりあべる、のぞきみしたの? わるいこだね」
『人聞きの悪いこと言わないでくださいまし! アタクシは覗きなんて悪趣味なことしませんわよ! これは……そう! 通りかかったら、たまたま見かけてしまっただけですの!』
(えぇ? そんなことある?)
偶然と言い張るにはあまりにも苦しい言い訳だが、ここで追及したら確実にマリアベルの機嫌を損ねてしまう。
そのためセレスティアは空気を読み、疑いの眼差しを向けながらも「ふーん」と頷くだけにした。
『さあ! 記憶、共有するんですの? しないんですの?』
「するっ!」
『それなら、さっさとしなさいな。ほら!』
マリアベルはテーブルの上にぴょんと飛び移ると、オッドアイの目を閉じた。
「じゃあ、いくよ……!」
『ええ、いつでもどうぞ』
セレスティアは深呼吸をして、マリアベルのもふもふの頭に自身の額を優しく押し当てた。
柔らかな毛がまぶたに触れてくすぐったい。
「くふふっ。ふわふわぁ」
『こら、集中なさい、ノーテンキ娘』
「あい。ごめんなしゃい」
ぴしゃりと叱られてしまった。
セレスティアは小さく肩をすくめて目をつむり、今度こそ意識を集中させる。