【完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
第5話:アルフレッドの過去
【おとうさま、おかえりなさい。
おしごと、おつかれさまです!
かえってきたら、いっしょに、ごはんをたべたいです。
おはなしも、たくさん、したいです。
おとうさまの、おかえりなさいのかいと、クリスティーヌさまの、かんげいかいをするので、きてください!
まってます!】
内心では微笑ましく思いながらも、アルフレッドの表情は本人の意志に反して、固く強ばっていく。
感情を表に出すのが壊滅的に不得手。それどころか、心が動けば動くほど無意識に顔が険しくなり、怒っているかのような面持ちになってしまう。
これは長年にわたって染みついた癖。
いや、もはや〝呪い〟と言っても過言ではない。
アルフレッドは由緒正しき公爵家の跡取りになるために産まれ、そして厳しく育てられた。
母は息を引き取る間際まで、我が子の名に必ず『様』をつけて呼び続けていた。
息子としてではなく、次期当主として。
常に一線を引いた接し方だった。
アルフレッドが笑うと、母は決まって険しい顔をしてこう咎めたものだ。
『いいですか、アルフレッド様。次期当主たるもの、感情を表に出してはなりません。笑顔など、威厳あるリシャール公爵家当主には不要です。貴方が立派になってくださらなければ、わたくしは〝失敗作〟を産んだと旦那様に叱られてしまいます』
母だけでなく屋敷の誰ひとりとして、幼いアルフレッドを甘やかすことは許されなかった。
なにせ絶対的権力を持つ父──前リシャール公爵が、感情に左右されない強い跡取り息子を欲していたからだ。
『アルフレッド、よく覚えておきなさい。お前の存在意義は、この家をさらなる繁栄に導くことだけだ。それができなければ、お前にはなんの価値もない。母親とともに路頭に迷いたくはないだろう?』
泣くな。
笑うな。
弱さを見せるな。
周囲に付け入る隙を与えるな。
両親の英才教育は、アルフレッドに次期当主としての才覚を芽生えさせた。
しかしその一方で、子供らしい感性や幼少期の幸せな思い出、そして人として本来備わるべき当たり前の感情表現を、容赦なく奪っていった。
やがてアルフレッドも子を持つ親の立場となり、娘を怖がらせてしまうようになるにつれ、何度思ったことだろうか。
自分がもっと、いい親だったら。
普通の父親だったら。
娘をもっと幸せにしてやれるのに──と。
しかし、ひそかな努力も虚しく、無表情で心を覆い隠してしまう呪いはいまだ解けない。
娘の行動を微笑ましい、愛おしいと想えば想うほど、意思とは裏腹に厳しい表情になってしまうのだ。
そのたびにセレスティアが怯えるのが痛ましく、眠っている時にそっと頭を撫でることはあっても、起きている時にはなるべく顔を合わせないようになった。
そうして今日まで、父娘はほとんど関わりのないまま過ごしてきたのである。
「……様? 旦那様!」
呼びかけに顔を上げると、ジェラールが眉を寄せて案じるようにアルフレッドを見つめていた。