【完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
第10話:夫婦の再出発
「……質問に問いで返してしまい恐れ入りますが、旦那様は私の生い立ちを、どの程度ご存じなのでしょうか?」
「おおよそのことは、事前に調べさせてもらった」
王族の計らいにより結ばれた縁談とはいえ、嫁いでくる令嬢がどのような人物か、調査した上で迎え入れるのは貴族として当然だ。
ならば話は早いと、クリスティーヌは軽く頷き、語り出す。
「私はメディス侯爵家の出ではありますが、ご存じの通りの身の上でございます。そのため、リシャール公爵夫人の名に恥じない行動ができるか、正直に申しますと……自信がないのです。ですから、私の行動で万が一にも旦那様にご迷惑をおかけしてはいけないと思い、なるべく外出は控えておりました」
緊張のあまり少々早口になってしまった。
一息で言い切ると、辺りは一瞬しんと静まり返る。
結婚後になって公爵夫人としての振る舞いに自信がないなど、なにを言っているんだと呆れられ、怒りを買ってもおかしくはない。
クリスティーヌは目を落とし、膝の上で両手を握り締めた。
実際には、ほんの数秒程度の間だったのだろう。
しかしクリスティーヌにとっては、ひどく長く感じられる。
まるで裁判官から沙汰を告げられる間際の罪人にでもなったかのような気分だ。生きた心地がしない。
「……そうか」
最初に発せられたアルフレッドの返答はとても静かで、その声色からは感情が窺えない。
怯えながらも、彼の真意を推し量るべく顔を上げたクリスティーヌは、視界に広がる光景に目を見張った。