【完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
「もぐもぐ……ごくっ。はむっ……むぐむぐ……」

「セレスティア、ひとつのものばかり食べてはいけない。バランスよく口に運びなさい。それと頬張りすぎだ。リスのように頬袋ができているぞ」

「あらあら、本当ですね。可愛らしい」

「淑女教育はもう少し大人になってからでいいかと思っていたのだが、基本的なマナーの練習はやはり徐々にでも始めるべきだな。クリスティーヌ、頼んでもいいだろうか?」

「かしこまりました」

「甘やかさず、厳しく頼む」

「……努力いたします」

「その間は怪しいな」

「可愛らしくおねだりされたら、ほだされてしまうかも、と思いまして」

「気持ちは分かるが、正しい礼儀作法を覚えさせるのはこの子のためだ」

「そうですね。旦那様のおっしゃる通りです。分かりました、お任せください!」

 アルフレッドは今日も今日とて無表情かつ淡々とした話し方だが、クリスティーヌはこれまでとはまるで違う。怯えるそぶりはまったくなく、それどころか穏やかな笑顔で言葉を交わしていた。

(ホントに、なんで急にこんなに仲良しになったんだろう?)

 葉野菜をもしゃもしゃと咀嚼しながら首を傾げていると、日当たりのよいテーブルの上でうたた寝をしていたマリアベルがサラッと告げた。

『昨日の夜、晩餐会の後にふたりで話し込んでいましたわよ』

(そうなの⁉)

『ええ。互いに胸の内を明かして打ち解けたみたいですわ』

(そっかぁ。よかった)

 昨日の気まずい雰囲気とは打って変わり、朝食の席には穏やかな空気が漂っていた。両親の仲がよさそうだとセレスティアまで嬉しくなってくる。ニコニコと顔が緩むのを止められない。

「ねぇ、ねぇ、おとうしゃま」

「ん? なんだ」

「おとうしゃまも、これからは、ごはん、いっしょ?」

「ああ、可能な限り、そうするつもりだ」

『やったー』とセレスティアが両手を挙げる前に、アルフレッドがすかさず「ただ──」と口にした。

「朝食を済ませたら王都に立つ予定だ」

「え……また、しゅっちょう?」

「ごめんな」

「いつ、かえってくる?」

「そうだな。一ヶ月以上はかかりそうだ」

「いっかげつ……」

 領地運営との兼ね合いもあるため、遠方にある王都への出張は通常、前もって計画されるはず。
 一ヶ月もの長期となれば、なおさらである。
 
 しかし以前ジェラールにアルフレッドの予定を聞いた時、領内視察から戻ってきた後はしばらく屋敷にいると言っていた。
 
 突然決まった王都出張。
 なにかよく分からないけれど、急がないといけない用事ができたのかもしれない。

(昨日のお客さんと、関係があるのかな……?)

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