【完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
「リシャール公爵よ。政務府との兼任になり苦労をかけるが、引き受けてくれるか」

「はい。謹んでお受けいたします、殿下。これより解決に向け、力を尽くす所存で──」

「お待ちください!」

 胸に手を当てて拝命するアルフレッドの言葉を、メディス侯爵の声が遮った。

 王子と公爵の会話に割って入るなど無礼千万。
 不躾(ぶしつけ)な態度を咎めるように、スチュアートがメディス侯爵を鋭く見やる。

「私の判断に異議を唱えるのか、メディス侯爵」

「い、いいえ……そうではなく……」

「であれば、許可なき発言は控えよ。無礼であるぞ」

「大変、失礼いたしました……」

 悔しげにうつむくメディス侯爵。
 視線を外したスチュアートはアルフレッドに目配せした後、おもむろに立ち上がり議場を見渡した。

「それでは、本日の議会は以上で終了とする。解散」

 閉会を宣言したスチュアートは大広間の出口へと歩き出し、アルフレッドも静かにその後ろに続いた。護衛を引き連れて第二王子の執務室へ向かう道中、ふたりは固く口を閉ざし、ひと言も声を発さない。

 人払いを命じて部屋に入り、アルフレッドとふたりきりになってようやく、スチュアートが引き結んでいた唇をほどいた。

「メディスの強欲たぬきジジイめ! 面倒なことをしやがって……!」

 椅子にドカリと腰を下ろしたスチュアートが、王子らしからぬ粗野な口調で毒づいた。
 驚くべき変わり様だが、スチュアートとは幼少の頃からの長い付き合い、いわば幼なじみのアルフレッドは慣れたもので、今さら驚きはない。

「あとでドゴール侯爵の機嫌を取っておいた方がよいでしょう。今は駆除剤の開発に苦戦しているとはいえ、我が国の医薬分野において、あの御方の力は必要です」

「分かっているよ。それにしても、いくら要職につきたいからといって、この国難の時に無駄に議会をかき乱すとは。つくづくとんでもない男だな、メディス侯爵は」

「その『とんでもない男』の娘を私に嫁がせたのは、どこの誰でしたでしょうか」

「うっ」

 アルフレッドの鋭い指摘に、スチュアートが言葉を詰まらせた。
 

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